図書館員、本を買う。図書館員、本を買う。
  『旅する温泉漫画 かけ湯くん ゆらりと行ってきます編』 松本英子／著 河出書房新社 刊（河出文庫） 出版年：2025.3 購入日：神楽坂 かもめブックス 2025年3月10日 ３月の初めから、ぎっくり腰に近い症状（なんとか仕事には行けていたので、そこまでではないかと思う）になって、かがめなかったり、寝っころがろうとあおむけになったり、もしくはよっこいしょと起き上がろうとするときに激痛（げきつう）が走り、おもわず声を上げてしまう状態だったので、ここのところ、休みの日にどこへも出かけられなかった。 ようやく痛みが引いてきたので、休みの月曜日に電車に乗る。日比谷線で茅場町から東西線に乗り換え、飯田橋に到着（とうちゃく）する。 漠然（ばくぜん）と、飯田橋のラムラ（ＲＡＭＬＡ）の２階にある芳進堂に行き、そこでめぼしい本がなければ、神楽坂方面に文悠書店、そこにもいい本が見つからなかったら、かもめブックスへ行こうかと思っていた。 地下から地上に出ると、以前は、ＢＯＯＫＯＦＦ（ブックオフ）（さらにさかのぼると文鳥堂書店）だった店舗が、ＤＡＩＳＯ（ダイソー）になっていたことにおどろく。 さっそく、ラムラ（ＲＡＭＬＡ）の２階に上がり、芳進堂に入ってみる。取次（とりつぎ・地方小出版流通センター）でこちら方面に通勤していたのが２００７年くらいまでだから、たしかにおぼろげな記憶なのだけれど、あのころよりだいぶ店内が薄暗（うすぐら）い感じがした。店舗（てんぽ）もこんなせまかっただろうか。品ぞろえはきちんとしているのだけれど、記憶（きおく）とのギャップがものすごく、クラクラしながら店を出る。 牛込橋側の駅舎（えきしゃ）も、いつのまにか現代的でオシャレな感じになっている。神楽坂飯店は、今年（２０２５年）の２月２１日をもって閉店するとの貼り紙がされていた。ギンレイホールがあった場所は取り壊されて更地（さらち）になってしまい、紀の善もなくなってしまっている。 私が、通勤で使っていたころの神楽坂は、もうすこし古めかしくて風情（ふぜい）があったのだが、いつのまにか外国人観光者向けのオシャレな坂へ変貌（へんぼう）していた。細木数子事務所だった建物（たてもの）に、くすり屋（ココカラファイン）とフィットネスクラブ（ＪＯＹＦＩＴ（ジョイフィット））が入っているし、時代はすっかり変わってしまった。 文悠書店も記憶にあるまちの本屋から、オシャレ店舗（てんぽ）に変わっていた。しかし、店内に入ると、本がスカスカだ。あきらかに本屋よりも、地下のレンタルオフィスの業務に力を入れているのが見て取れる。 しかたなく、ほんとうにひさしぶりにかもめブックスにやってくる。約９年ぶりぐらいだろうか。新潮文庫の看板は取り払（はら）われてしまい、あたらしかった軒先テントは、いい感じにくたびれた感じになっている。 こちらの店舗（てんぽ）も、書店より、カフェに重（おも）きを置（お）いている感じだ。かわいいスイーツをほおばりながら、まったりとした時間を過ごしている女性が多い。本をながめているお客は多いのだけれど、レジに向かう人はいない。 飯田橋と神楽坂の変わりように頭がついていかないこともあり、買いたい本がまったく決まらない。棚を何回もグルグルして、手ごろな文庫や新書はないかと探していると、またしても松本英子さんの『かけ湯くん』の文庫を見つけてしまう。１月に買ったばかりだが、もうあたらしいのが出ていてうれしい。 スタッフの人なのか、お客さんなのか、外のテラスのテーブルにコーヒーを置いて、熱心にスマホで撮影している女性がいた。もう本屋だけでは、商売がなりたたない時代なのだろう。 松本英子さんの本の紹介 『局地的王道食 １』（２０１６年８月） 『旅する温泉漫画 かけ湯くん』（２０１８年１０月） 『４９歳、秘湯ひとり旅』（２０２０年４月） 『直売所、行ってきます』（２０２１年５月） 『初老の娘と老母と老猫』（２０２３年７月） 『かけ湯くん 温泉は好きですか編』（２０２５年１月） |
眠る図書館TOPへ