図書館員、本を買う。図書館員、本を買う。
  『局地的王道食 １』 松本英子／著 講談社 刊 出版年：2016.7 購入日：ＢＯＯＫＳキデイランド亀有店 2016年8月21日 ８月のある日、葛飾区在住の漫画家、かつしかけいたさんが立石を案内してくれるということで、お花茶屋駅で待ち合わせをしていた。 お花茶屋は私が図書館員として働き始めた最初の土地で、ここの図書館で一緒に働いていた人たちとは、それぞれみな、他の図書館へ職場を移っていったいまでも交流がある。 お花茶屋を舞台にした山本幸久の小説『幸福ロケット』（ポプラ社・２００５年）で登場するお花茶屋書店は、私が働き始めたころにはすでに看板だけしか残っておらず、店舗は高級ミニベロ（小径車）を扱うこじゃれた自転車屋（サイクルショップしぶや）になっていた。 なので、お花茶屋で新刊本を買うときは、駅の裏側にあるＢＯＯＫＳ ＫＩ（ブックス・ケイアイ）で買うことになる。 ここでは、やはり葛飾区在住の漫画家である松本英子の作品を取り揃えていて、コミックエッセイの隠れた名作として知られる『荒呼吸（あらごきゅう）』（講談社・全５巻）の新刊が出るたびに、私はこの店で買っていた。 ７月に松本英子の待望の新刊が出たというので、この日、かつしかけいたさんと合流し、思い出の地であるお花茶屋の本屋で手に入れようと、私はひそかに心に決めていた。 しかし、かつしかさんと駅の裏側に降り立ってみると、本屋であったその場所はスーパー（まいばすけっと）に変わっていた。かつしかさんの話では、今年（２０１６年）の２月末に閉店してしまったようである。 かつしかさんとの立石での夜の食べ歩き（私は飲み歩き（笑））の時間は、とても楽しく過ぎていったのだが、葛飾区在住の漫画家さんの作品を葛飾で買えなかったことが気にかかった。 葛飾区は、新刊書店不毛の地であり、町の小さな本屋があちこちに点在するのみである。 小さな本屋では松本さんの漫画を揃えている可能性が低いため、私の知る限り、葛飾でいちばん大きな書店であるアリオ亀有の中にあるキディランドへ、後日、足を運んでみた。 以前来たときよりも書店の規模が縮小されたようで、さっそく不安に駆られつつも、まずはコミックの棚とは別に設けてある、コミックエッセイのコーナーを見てみたのだが見つからない。 地元愛のない本屋だなぁと悪態をつきながら、コミックの棚をくまなく見てみるも、ここでもやはり見つからなかった。 最後にコミック最新刊のコーナーへ。ざっとひと回りしてみて見つけられなかったが、もういちど慎重に１冊、１冊時間をかけて目を皿のようにして見ていくことにする。 そしてついに、奇跡的に１冊だけ隅っこのほうに置かれてあったのを発見した。 かつしかけいたさんも松本英子さんも、もっともっとメジャーな漫画家になって欲しいという思いがある半面、私だけの（マイフェイバリットな）漫画家であって欲しいという感情も少なからずあったりもする。 かつしかけいたさんについてのコラム 『見慣れた人を描く人』 |
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