図書館員、本を買う。図書館員、本を買う。
  『缶チューハイとベビーカー』 パリッコ／著 太田出版 刊 出版年：2024.7 購入日：千駄木 往来堂書店 2024年7月4日 １９９５年、夏 人々は融（と）けかかったアスファルトに己（おの）が足跡（そくせき）を刻印（こくいん）しつつ歩いていた… ひどく暑い―― YouTubeで、押井守監督の初の実写作品『赤い眼鏡』（1987年）関連の動画がなぜか引っかかってきて、押井守ファンでもない私でもなんとなく知っている、このフレーズが冒頭で出てきた。 ２０２４年、７月初旬。エアコンと扇風機（せんぷうき）をガンガンに回している部屋から一歩、玄関（げんかん）を出た瞬間（しゅんかん）、汗（あせ）が噴（ふ）き出る。『赤い眼鏡』が公開当時、ティーンエイジャーだった私も、すでに５０代。 あれから３０数年が経過（けいか）した日本は、当時に比（くら）ぶべくもなく、ひどく暑い――。 千代田線の千駄木駅からまっすぐ歩いて、往来堂書店が見えたちょっと先を右に折れ、根津神社と日本医科大学附属病院のゆるい坂をのぼって、昨年（２０２３年）の９月にオープンした、本の店 & companyを覗（のぞ）いてみる。 小さな店内の中央にある、楕円形（だえんけい）のテーブルにおすすめの本が並べられていて、かつしかけいたさんと柴崎友香さんとの対談が掲載された『ユリイカ 2024年6月号 特集＝わたしたちの散歩』（青土社）も置かれていて、うれしくなる。 汗をふきふき、どれにしようか迷って、夏森かぶとさんのZINE『本と抵抗』を購入しようとすると、レジをしていた女性（たぶん、店主の末竹京子さん）が『不忍ブックストリートMAP 2024』や『根津権現かいわい浪漫ちっくマップ』をおまけにくれた。マップをたよりに、谷根千界隈（やねせんかいわい）を散歩しようとも思ったが、ひどく暑い――。 結局、歩いてきた道を引き返して、往来堂書店へ入る。エアコン、最高（笑）。 中旬に、キッチンミノルさんの写真教室があるらしく、レジ前に関連本が並んでいた。このところ、写真絵本をつぎつぎと刊行していて、いちばん新しい『たいせつなたまご』（白泉社）も置かれている。 写真絵本にこころを惹（ひ）かれつつ、手にしたのはパリッコさんの新刊。killdiscoさんのイラストの表紙と、タイトルのロゴが軽やかで好きだ。 過去の往来堂書店への訪問記事 『日常と不在を見つめて』（２０１６年５月） パリッコさん関連の本の紹介 『天国酒場』（２０２０年１０月） 『ご自由にお持ちくださいを見つけるまで家に帰れない一日』（２０２２年１２月） |
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