図書館員、本を買う。図書館員、本を買う。
  『筒美京平 大ヒットメーカーの秘密』 近田春夫／著 文藝春秋 刊 出版年：2021.8 購入日：くまざわ書店 イトーヨーカドー綾瀬店 2021年9月4日 ９月（２０２１年）に入ってから、天気が悪い。 休みになったこの日も、朝から雨がパラついている。 どこか本屋へ行きたいけれど、緊急事態宣言下であまり遠出したくない。 金町の葛飾区立中央図書館に立ち寄り、図書館の下にある大洋堂書店か、駅の反対側にある大和書店に行こうと考えて千代田線のホームに向かうと、綾瀬止まりの電車が滑り込んできた。つぎの電車を待つこともできたのだが、私はこのまま綾瀬行きに乗り、綾瀬駅の西口の改札を出てしまった。 駅の西口にあった近代書店は、いまはもうない。 まだ団地に住んでいたころ（２０年以上前）は、綾瀬駅から花畑団地行きのバスが出ていることもあり、近代書店で本を買い、バスに揺られながらページをめくり家路に着くなんてことをよくしていた。 近代書店を最後に目にしたのは、３．１１の東日本大震災の日だった。 図書館が臨時休館となり、しばらく館内で電車の復旧を伺（うかが）っていたのだが、いつまでたってもまったく動く気配がないため、バスでとりあえず綾瀬駅まで出て、花畑団地行きのバスに乗り、そこから自宅（谷塚）まで歩いて帰ることにしたのだ。 綾瀬駅周辺は、電車が動かずに足止めを食らい、飲み屋なので時間をつぶしている人たちが目立った。早く家へ帰ることしか考えていなかった私は、近代書店の中には入らず、店の明かりをただぼんやりと眺めていた記憶がある。 近代書店はこの出来事の数週間後、２０１１年の３月いっぱいで閉店した。そのことを知ったのは、もうだいぶ経（た）ってからの話だ。 西口から高架下を進み、東口へ向かう。東口改札を出たところにある山下書店をちょっとだけ覗（のぞ）いて、信号を渡って向かい側にあるイトーヨカドーに入る。私は、４階にあるくまざわ書店を目指していた。 店内が意外と広い。学参や児童書にスペースを割いているからか、本の品揃えはほどほどといったところだろうか、欲しい本が見つからない。柏書房から出ている『まとまらない言葉を生きる』（荒井裕樹／著・本体価格１８００円）を探していたのだが、新聞の書評欄のコーナーにも見当たらなかった。 新書の新刊棚に、筒美京平について書いた近田春夫の新書を見つける。 昨年（２０２０年）、筒美京平追悼のＮＨＫスペシャルを見て、急に太田裕美が聴きたくなり、ハードオフで叩き売られていたベストアルバムのＣＤを買ったまま、結局、聴かないまま１年が過ぎてしまったなぁと、ふと思い出していた。 |
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