画像・写真

それがいつのことだったのか思い出せない。４５

『それがいつのことだったのか思い出せない。 ４５』 撮影機材：FUJI TW-3 ツイング フィルム： FUJIFILM 業務用フィルム ISO400 2006年5月頃 ？ 　ふだん使っている、目覚まし時計（CASIO DQD-50J）の液晶表示がすこし劣化（れっか）して見づらくなってきたような気がする。 　自宅で使っている時計は、まえの家に転がっていたものをそのまま引っ越しのときに持ってきたものだ。いつごろ買ったかなどまったく覚えていないのだが、いまの家に引っ越してきたのが２００４年なので、すでに２０年以上前の製品ということだけは確定（かくてい）している（笑）。 　電波時計が普及しだしたころの製品のようだ。その先進性をカタチにしようと迷走（めいそう）してしまったようで、色合いからも「パチモン感がハンパない、シュッとしたドラえもんモドキ」という感じの、なんとも平成レトロなデザインをしている（笑）。 　コロンとした形状が、小学生の団地に住んでいたころに家にあった、ゼンマイ式のトラベルクロックと似ていて、まったく愛着（あいちゃく）はないにもかかわらず（笑）、とても使いやすい時計で重宝（ちょうほう）している。 　ゼンマイ式のトラベルクロックはシチズン製だっただろうか。折りたたみ式で、表面は黒のシボ加工がされており、真鍮（しんちゅう）の金色、ガラスの風防（ふうぼう）が相（あい）まって、ちっちゃいのに威厳（いげん）があった。 　団地時代に使っていたパタパタ時計（SEIKO QN-407）は、いまだになぜかの家で使っている（笑）。４畳半のせまいこども部屋に、兄と私の机のあいだに１４インチのブラウン管の赤いテレビがあって、その上に置かれていたやつだ。 　１９７０年代の製品だろうから、もう４０年以上、時を刻（きざ）んでいることになる。すごいことなのに、この赤い時計にもまったく愛着（あいちゃく）が湧（わ）かない（笑）。それくらい、その時計の存在が私の生活のなかに溶（と）け込（こ）んでしまっているからなのだろう。 　目覚まし時計や掛け時計をネットで検索してみると、星の数ほどの製品が出てくる。いまどきは電波時計から、Wi-Fi接続のものも出てきていて値段もどれも手ごろだ。オシャレなデザインのものも、ダイソーで買えてしまう時代だ（笑）。 　あたらしい時計を買おうかと思ったものの、もう死ぬまでこのラインナップでいいのかなとも思った。人生、もう晩年（ばんねん）にさしかかり、新しい時計を買うのもなんだかなぁ、という気分になってしまった。いまどきの若者は、置き時計や腕時計など使わずにスマホで時間を確認しているのだろうし。スマホのほうがむしろ正確な時間を表示しているはずだ。 　すっかり、話がジジむさくなってしまった。 　頭の中では、『大きな古時計』（平井堅バージョン（笑））がすっかり鳴り響いてしまっているのであった（笑）。

CASIO DQD-50J デザインがイマドキではありませんが、そこはカシオの wave ceptor 。電波時計らしい正確な時間を刻みます。 SEIKO QN407 単１電池で駆動するパタパタ時計。ボロボロ。 もっと大切に使っていたら、ヤフオクで高く売れたこと でしょう（笑）。 MAG T-221とW-132 ノア精密さんの時計ブランドMAG。 手ごろな値段で、よく動いてくれます（笑）。 （追記） 　セイコーミュージアム銀座のホームページで時計の歴史を見ていると、１８９９（明治３２）年に日本初の目覚まし時計が登場していることにおどろいてしまった。 　１９６０（昭和３０）年代には電池駆動のものに置（お）き換（か）わっていき、私が生まれる前後の１９６８（昭和４３）年には、世界初のクオーツ掛け時計が登場し、１９７６（昭和５１）年にはクオーツの目覚まし時計も発売される。 　私が幼少期、団地にはゼンマイ式の掛け時計があった記憶がかすかにある。そのころ居間（いま）にあったテレビは、家具調の木目（もくめ）のもので、上には木の彫り物（クマだったかはさだかではない（笑））が置かれていたのだと思う。 　それが、ブラウン管のダイヤル式のテレビからタッチ式に変わったころ、テレビの上にはパタパタ時計が置かれるようになり、しだいにブラウン管のサイズが大きくなるにつれ、クオーツ式の置き時計に切り替わっていった。 　いつしかテレビがブラウン管から液晶になって、時計が置くスペースがなくなってしまう（笑）。 　時代がケータイからスマホに移行（いこう）していき、しだいにテレビすら見なくなっていったころ、いつしか人びとは時計のありがたみを感じなくなってしまっていた。いまどきの時計はオシャレだけれど、個性がないように感じてしまうはそのせいだろう。 　だからこそ、むかしの時計を、アンティークでエモいと感じる若い人が出てきたり、私のようなオッサン（老人）は、家にあったゼンマイ式のトラベルクロックをあのとき、捨てなければよかったと後悔（こうかい）してしまう時代となってしまったのだろう（笑）。

画像・写真TOPへ