ＳＩＤＥ Ｂ アクセス　1996年7月号　V0l.0

雨である。　

日々あくせくしているうちに、あっという間に梅雨の季節となった。 　日々アクセスで働く者にとって、雨は、大敵であり、やっかいな季節といえる。 　とにかく「お前らは雨に濡れてもかまわないから、本だけは濡らすな」という厳しい指導を受けた私達（若干、フィクション有り）。本を入荷するときには、シャツやズボンがぐっしょりと濡れて、おまけに蒸し暑さも加わり、はなはだうっとうしく感じる。 　かといって、雨の日が嫌いかというと、そうでもない。普段は慌しく人々が行き交い、にぎやかな本屋街も、雨の日に限って、どことなく静かに時間が過ぎていくからだ。 　寡黙に歩いていく傘を持つ人々が、アスファルトの水たまりに浮かび上がる。木々の緑や、あじさいが、しっとり濡れて匂い立つ。そして雨音がさらに街を静寂にしてくれる。 　私は結構、そんな雨の日が好きだ。しかし、お客が来ないし売り上げを考えると……。

『SIDE B アクセス』のプロトタイプ。 96年のこの頃はデジカメもスキャナも、高嶺の花だったので パソコン上でレイアウトできず、台紙に切り貼りしての製作。 文章は、さもジサブロウ店長が書いたような感じにしていますが、 実際は、製作者の私が書いていました。

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