コラムコラム
いやあ、すっかり秋ですね。 あれだけ暑くて鬱陶（ウットウ）しかった夏も、もう終わってしまったのだなぁなどと、黄昏（タソガレ）ている今日この頃。 もともと夏が苦手なのですが、今年はいつも以上に体調が優れずに参（マイ）りました。 ３７℃前後の熱が続き、体がだるく、疲れが取れなくて、秋口（アキグチ）に入り、病院へ行ってきましたが「異常ナシ。健康そのものです」とつれない返事が返ってきました。 まあ薄々（ウスウス）、この体調不良の原因は判っていたのですが、病院に行ってきてハッキリしました。僕は夏のあいだ、医者にも判らないある病（ヤマイ）にかかっていたのです。 その病名は『夏川結衣（なつかわゆい）シンドローム』。 僕はこの夏のあいだ、阿部寛主演の連続ドラマ『結婚できない男』（関西テレビ）を録画していて、相手役だった夏川結衣の「名（迷？）コメディエンヌ」ぶりを、寝食（シンショク）を忘れるぐらい、ヘビーローテーションで観賞（カンショウ）していたのです（笑）。 おバカでした。これでは体調も悪くなります。夏川結衣のような美人の女医さんを期待して病院へ行き、結局、尾美としのりのような物腰の柔らかい男の先生に診（ミ）てもらった自分自身がとても虚（ムナ）しいです。 若い人たちは（何か僕がジジイみたいな言い方だな）、夏川結衣という役者さんが「正統派の美人女優」だというイメージを持っていると思います。 しかし、夏川結衣が役者デビューした頃の「迷（名？）コメディエンヌ」ぶりを知っている僕らのような年代の人間にとっては、『結婚できない男』によって、ようやく本来の夏川結衣が帰ってきてくれたと狂喜乱舞（キョーキランブ？）しております。 夏川結衣が「迷（名？）コメディエンヌ」ぶりを発揮したのは１９９３年のわずか１年だけだったと記憶しています。 テレビドラマでは久世光彦演出・さくらももこ脚本の『谷口六三商店』（ＴＢＳ）、映画では柄本明初監督作品『空がこんなに青いわけがない』の２作品がそれにあたるのですが、病（やまい）が進行していた夏のある日、たまらず『空がこんなに青いわけがない』のＤＶＤを買ってしまいました。 『夏川結衣（なつかわゆい）シンドローム』から、ようやく回復のきざしが見えた今日この頃、冷静（レイセイ）になって『空がこんなに青いわけがない』を観（ミ）てみると、『結婚できない男』と極めて似通った構造（コウゾウ）のお話であることが判りました。 この夏、ハンカチ王子が甲子園球場で「筋書き「の」ないドラマ」を展開（テンカイ）していましたが、『空がこんなに青いわけがない』と『結婚できない男』は、「筋書き「が」ないドラマ」とでも言いましょうか、物語（ストーリー）よりも何よりも、登場人物のディテールばかりに腐心（フシン）して作られています。 『結婚できない男』の主人公・阿部寛が現在（２００６年）の中年男の象徴（ショウチョウ）として描かれているのと同様（ドウヨウ）、『空がこんなに青いわけがない』の主人公・三浦友和も１９９３年当時の中年男の典型（てんけい）として描かれていますが、お話と関係ない所でちょこちょこっと顔を出す、妙（ミョー）に存在感のあるワキ役たちが登場する所も、この２作品、共通しています。 三浦友和の勤める会社から出向（左遷）していく人物として不破万作さんが、三浦友和と通勤電車で毎朝いっしょになる男性として尾美としのりが（ほんの１０数秒、２回だけ）登場します。役柄の位置づけが『結婚できない男』と近ず離れずといった感じで、思わずクスッと笑ってしまいました。 さて、三浦友和が演じた『空がこんなに青いわけがない』の主人公は、土地つき一戸建ての家に母親・奥さん・子どもと４人暮らしで住み、会社のＯＬと不倫している人物で、職場でも家庭でもとにかく無気力に茫洋（ボーヨー）としながら生きている、１９９３年当時の「いまどきの中年男」です。 この中年男の不倫相手のＯＬ役を、夏川結衣が傍若無人（ボウジャクブジン）に怪演（カイエン）しております。 怪演というか、その暴れっぷりは、まるで何かに取り憑（ツ）かれたような狂おしさに満ち満ちていて、見るものを唖然（アゼン）とさせますが、主役の三浦友和をも食ってしまうコメディエンヌぶりに、顔を引きつらせながらも思わずヒクヒクと笑ってしまいます。 それとやはり夏川結衣さん、とても美人です。 男性を惑（マド）わせる、あの目力（めぢから）は反則です（笑）。 『空がこんなに青いわけがない』のＤＶＤを見返して気がついたのですが、『結婚できない男』でしばしば見られた、夏川さん独特の口を「ニッ」と「Ｖ字」にするあの笑顔が、この映画では、ラスト付近の１カットしかありませんでした。 １０何年か前、僕が今はなきシネマアルゴ新宿で見たとき、この笑顔の印象を強く持っていただけに驚きました。 今年の夏、緩急自在（カンキュウジザイ）な演技を身につけ、『結婚できない男』でコメディエンヌとしてさらなる成長を遂（ト）げた夏川結衣さん。 僕でなくても、『夏川結衣シンドローム』にかかってしまった男性は多かったことと思います。 （女性たちは、阿部寛の名（迷？）演技に引きまくっていたのでしょうか？） ところで、『夏川結衣シンドローム』という病名は、僕が中学生の頃に読んでいたがみよしひさの漫画『軽井沢シンドローム』（小学館・当時）からきています。 軽井沢でジープを乗り回し、女を取っ替え引っ換えしながらモーテルに入る、ヌード専門のカメラマンが主人公の漫画で「症候群（シンドローム）」という言葉が、当時とても新鮮でした。 このカメラマンの息子が主人公の漫画『軽井沢シンドローム ＳＰＵＲＯＵＴ』（秋田書店・全７巻？）が出ているという話を聞いて、『結婚できない男』で夏川結衣が演じた早坂先生のように漫画喫茶に入って読みまくるか、ブックオフでオトナ買いをして読むか、現在、検討中です。 |
 夏川結衣は 「夏、カワユイ」女優さん？ この映画も 夏のお話でした。 秋のフジテレビの月９ 『のだめカンタービレ』で 上野樹里が コメディエンヌとして 夏川結衣を越えられるか 興味が あります。 |
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