コラム

カメラバッグを前に抱えろ! 


 とある通勤ラッシュの帰りの電車。まわりの迷惑も気にせず、幅広の大きなカメラバックを肩に下げた、太り気味、七三分け、黒ぶちメガネ。手には『少年ジャンプ』の青年。
 青年と僕との、目と目で通じ合う(?)沈黙の会話が始まる。

(ぼく)「おいっ!」
(青年)「えっ? 僕?」
(ぼく)「そのバッグ……」
(青年)「えっ? わかる? そう、ドンケのカメラバッグなのよ」
(ぼく)「……」
(青年)「えっ? カメラ? そう、キャノンD60。買い換えちゃったのよ。やっぱり、もう、デジカメの時代でしょ? 手ブレ補正のズーム付けて、もうアイドル、バリバリ撮りまくり」
(ぼく)「…………」
(青年)「今日、MEGUMIちゃんの握手会の帰りなのよ。えっ? 見たい? 胸はあんまり写ってないよ。顔しか撮らないの僕。正統派のアイドルスナイパーだから」

 ここで、沈黙が途切れる。

(ぼく)「(突然声を荒らげて)おいっ! さっきから、そのバッグがジャマだってんだよっ!」
(青年)「えっ? 僕?」
(ぼく)「マンガなんて読んでるんじゃねぇぞ、テメェッ! バッグを前に抱えろっ! この●▲◆■(あまりにも下品なので割愛)野郎っ!!」

 と、今回の話ですが、僕はとても気が短い、という話ではなくて、バッグの中のカメラの話です。

 僕も、先ほどのカメラバッグの青年並みに荷物が多いので、普段持ち歩いているリュックを申し訳なさそうに前に抱え、気弱そう(?)に電車に乗っている。

 リュックの中身は、図書館で借りた本やコンビニで買った雑誌、ちっちゃいパソコン(このHPの原稿書きや、人からデジカメのデータをもらうときに使用)が入っている。
 さらに、非常に汗っかきの僕は、電車の中ではセーターやトレーナーをこのリュックに押し込んでいるので、リュックは常にパンパンの状態。さらにさらに、ここで青年のように一眼レフカメラを入れるとなると、腰痛で歩けなくなってしまう。

 ここの写真の集まり(JRP荒川流域支部)の女性陣たちは、みんながみんな、バッグの中に一眼レフを入れて、スーパーで買い物をしながら、軽々とあっちこっち歩き回っている。元気だ。とても真似できない。

 そういう訳で(どういう訳で?)、現在、僕が使っているカメラは、パンパンのリュックからすぐに撮り出して写せる、オリンパスC−2(デジカメ)とμ−U(マジカメ)なのである。
 しかも、体力も根性もない僕は、こんなちっちゃいカメラをリュックに入れるのも億劫で、持ち歩かないことが多い。であるからして、僕は、相変わらず寡作な写真家である(女性陣から若いくせに軟弱だと怒られそう。トホホ)。




蓋(バリア)を開けたら
即、撮影。
すぐ、蓋、閉めて
撮影、終了。
レンズは35ミリの単焦点。
コンパクトカメラ史上
最強、最高の組み合わせ?




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