コラムコラム
みなさんは、写真を始めたきっかけというのはどういうもんなんでしょう？ 『ザ･ファミリー･オブ･マン（人間家族）』展を観て感動して、写真を始めたようなことを『かためのコラム』の「私」が書いているが、どうも信用できない。「私」がそんな、心清らかで誠実な人間にはとうてい思えない。 確かに「僕」はその写真展を観て、コンパクトカメラを買って帰ったけど、真相はちょっと違う。その前に「僕」は写真を撮っていた前科がある。 あまりに恥ずかしくて、「私」の方が、ひた隠しにしたい気持ちは痛いほどよくわかる。なぜなら、僕が写真を始めたきっかけというのが、これがまた、あまりにもドーキがフジュンであったからなのだ。 僕が写真を始めたのは中学３年のことで、当時の友人・Ｋ君が唐突に「パンチラ写真を撮らないか？」と言い出したのがきっかけだったのだ。 当時の僕の友人はこんな奴ばかりで、美人の国語教師をイタズラするために、理科室でクロロフォルムを作ろうよと誘ってきたものもいた。ただ、みんな、スケベな割には根が真面目な少年たちで、「クロロフォルムを作りたいので理科室を貸していただけないでしょうか？」と理科の先生にお伺いを立てたりするのだ。理科室を提供する先生も先生なら、本気で作ろうとしてフラスコを壊しまくり、結局、大目玉をくらう友人も友人だ。おおらかな時代だった（しみじみ）。 その頃の僕はといえば、いわさきちひろの絵が好きで、あんな絵が描けたらいいなぁ、とひそかに思っていたときで、あこがれのＮ子ちゃんにモデルをお願いして、でもポーズをとらせて何時間も我慢させるのはしのびないから写真にしようか、でも服を着ていると体のラインがわかりずらいなぁ、「お願い！ Ｎ子ちゃん！ ゲージュツのために脱いでっ！」という妄想を膨らましていた時期で、まあ、この友人たちと頭の構造がおんなじのスケベ少年であったことには疑いの余地もない。 パンチラ写真を撮るのを誘ったＫ君も、ご多分に漏れず、根が真面目な少年だったので、「まずはじめに写真を勉強しよう」ということになり、各々の家からカメラを持ち出し動物園で撮影したり、中学校の写真部（写真部というよりは鉄道ファンクラブのようだったが）を見学したりして、僕は写真を撮り始めることとなったのだ。 友達のカメラはプログラムＥＥ（ＡＥと呼ばれる前）の操作が比較的かんたんなカメラだったが、カメラなんかまともに触ったことのない僕は、兄のオリンパスＯＭ−１というマニュアル一眼レフだったので、手ぶれ、ピンぼけ、露出がバラバラと、撮影当初はヒドイ目にあった。 では、実際、僕と友人はパンチラ写真を撮ったかという、事の真相はヤブの中に置いておく（フフフ。ブキミな笑い）。この時代の僕がいなければ、『かためコラム』の「私」は写真を撮り始めようとは思わなかったわけである。 あれからもう、１０何年も経っているが、写真の技術がいまだにあの当時の中学生レベルのまま、僕は写真を撮っている。 |
 中学の修学旅行でバスの中から バスガイドさんを撮った写真。 （写真の）芸風が 現在の僕と 大差ないのが笑える。 |
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