コラムコラム
前川光平さんの名前を知ったのは、タカザワケンジさんの X（旧Twitter）のポスト（ツイート）であった。 中目黒のSpace Utility TOKYO での前川さんの写真展、『家はガムテープで直せる。』（2025.6.18～6.22）のことに触れられていて、興味を持ったのだが、仕事で行くことはできなかった。 しかし、『ZINEと雑貨、写真と言葉』（2025.6.25～6.29）という、写真関連のZINEの展示会が、この写真展のあとに開かれていたので、そこで前川さんの制作のZINE、『家はガムテープで直せる』（2024年）を購入することができた。 ZINEの制作メモやネットでの情報では、前川光平さんは2010年代の後半からピザの配達の仕事をするかたわら、家の庭や軒先（のきさき）にある『なにか』に目を留（と）めて、撮影するようになったようだ。 私たちからすると、一見（いっけん）、散乱したゴミのように見えてしまうそれらのものは、よく見ると人の手が加えられて、時間をかけて積み重なっていることに気づかされる。こうした痕跡（こんせき）は、まるでオブジェのように見えなくもない。 前川さんのZINEを見て、以前、図書館で借りたことのある、福島あつしさんの写真集『ぼくは独り暮らしの老人の家に弁当を運ぶ』（青幻舎・2021年）のことを思い出し、ふたたび図書館で借りてみることにする。 福島あつしさんは、2004年から2014年にかけて、おもに高齢者向けのお弁当の配送をする仕事をしていて、そこで知り合った人たちの生活を撮影してきた。 その経歴や、冒頭の高齢者の方たちの部屋を撮影した写真は、前川さんの写真との共通点があるように思える。奇（く）しくも、この写真集の解説はタカザワケンジさんである。 はからずも、人が年月をきざんで積み重ねられた痕跡（こんせき）に対して、より人へ目を向けていった福島さんと、よりモノへ目を向けていった前川さん。 １９８１年生まれの福島あつしさんは、自身のホームページを見ると２０１８年から２０２１年にかけて農家として働きながら、写真を撮影していたようである。では、１９９３年生まれの前川光平さんは、これから、どんな人生を歩み、どんな写真を撮影していくのだろう。 （前川さんの写真集が出版されたあかつきには、タカザワケンジさんが解説を書いてくれるとうれしいかも（笑）） |
 縦位置と 横位置、 撮影のスタイルも 前川さんと福島さんとでは、 おおきく 異なりますが、 写真の 見つめた先は、 近いのではないかと、 感じます。 |
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