荒川流域支部の面々

内面へ向かう旅

吉村聡子さん（写真中央）

第２６回木村伊兵衛写真賞に輝いたのは、長島有里枝・蜷川実花・ＨＩＲＯＭＩＸという３人の女性写真家でした。 　１９９０年代から脚光を浴び、その強烈な個性で世紀末を疾走した彼女たち。２１世紀を迎えた現在もなお、第一線の写真家として活躍していることに、ある種の感慨を覚えます。 　いわゆる『ＭＥ写真』と呼ばれる、自分自身、自分の友達、家族、自分の目に映る街など、自分に関わるものすべてにカメラを向けた、膨大な量の写真群が彼女たちの作品の特徴なのですが、最近は、なにげない風景を穏やかな視線で捕らえた作品へと変化しているように思います。 　自分自身のことがとても気になり、痛々しいまでに自分の内面をさらけ出した幼い頃は過ぎ、彼女たちは２０代後半に差し掛かり、自分の内面と冷静に向かい合えるようになったのではないでしょうか。 　女性に年齢を尋ねるのも少々気が引けるので、吉村さんの正確な年齢は判りませんが、たぶん、この３人の写真家と同世代のはずです（違っていたらゴメンナサイ）。そんな吉村さんが３月の例会で見せてくれた作品は、膨大な量の北海道の風景写真でした。 　吉村さんは、自分の内面へ向かう旅をしてきたのだと思います。彼女は、穏やかで包み込むような視線で、北海道の雪原を撮影しています。

『揺れる心で』（稚内）

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